昔の話ですが、ディズニー・ランドに失望したことがあります。
森岡浩之
有名なアトラクション「イッツ・ア・スモールワールド」、てっきり「小さな世界」がテーマなんだと思っていたのですが、どうやら「世界は小さい」と言いたいらしいことがわかって、がっかりしました。
そのくらい「小さな世界」が好きです。
というわけで、「小さな世界」を見せてください。
文字通りの「小さな世界」です。
「何人か、あいだに挟めばみんな知り合い」という意味ではありません。
小さいのに、それ自体で完結した、あるいはそう見える、パーフェクトアクアリウムのような世界です。
世界を玩弄できるのがSFの強みだと思います。
もちろん、世界を描くにはいろんな手法があって、ごく一部、いわば欠片に読者を触れさせ、その向こうにしっかりと構築された、異質な社会、あるいは宇宙を感じさせるというのもあります。
しかし今回は、「小さな世界」のうえを歩かせてください。
いま、わたしの頭に、ラリー・ニーヴン『インテグラル・ツリー』、レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』、草野誼『かんかん橋をわたって』なんてタイトルが浮かんでいます。
しかし、困ったな、どれも長いのはいいとして、マイナーなので、実例にするには不向きに思えます。
そうそう、メジャーなのがありました。
『星の王子さま』の王子様の故郷の星、あれが「小さな世界」の一例です。
皆さんの世界を楽しみにしています。
SFの世界では箱庭宇宙という言葉がありますが、今回は「小さな世界をいかにして構築するか」というテーマです。
今回は東京創元社にお邪魔して、創元SF短編賞の選考会が行われた部屋からお送りします。創元社の新アンソロジー「Genesis」のお話もお伺いしました。盛り上がりすぎて2時間半の長丁場となりましたが、なにとぞよろしくお願いします。
ざっくり結果だけ
梗概
- 小野十郎「最古にして最新の弔い作法」 2票
- ヤナギサワカズキ「実験家族」 2票
- 琴柱遥「ちいさな夜警」 1票
- 谷美里「馬鹿河童大神人」 1票
- 宿禰「小さな家」 1票
- 斧田小夜「ヴァルタヴァの寫眞師」 1票
実作
斧田小夜「酔来酔去」
果たして我々の予想はあたるでしょうか? 今回は実作が少なかったので、そちらにも言及しています。